2008年6月22日日曜日

肉食の思想

鯖田豊之著「肉食の思想」(中公新書)という本に、断絶理論という話が出てくる。かいつまんで言うと、白人は人間と動物、貴族と平民、キリスト教徒と非キリスト教徒をきっちりと区別するという話だ。ひさしぶりに読み返して、ふと最近の環境保護運動を連想した。

人間と自然を二分する環境保護運動の基本コンセプトは、まさに断絶理論そのものではないのであろうか?しかし、それは白人社会の文化が生み出した欧米オンリーの田舎臭い思い込みであって、世界普遍の共通の原理として、極東の島国が輸入する思想ではないと思う。運送会社の倉庫から鯨肉を盗み出して屁理屈をたれる一握りのファンダメンタリストは別として、こういうものの考え方には、誰しもが言うに言われぬいかがわしさを感じているはずだ。

自然の存在である人間が、自然のものを利用して作ったものは、すべて自然のものである。マグロの胃袋から出てくるビニール袋も、希少動物の絶滅も、何の不思議も驚きもない天然自然の現象である。もし、環境保護論者が自然をどうしようもなく愛しているというのであれば、南海の海底の珊瑚も、ドブ川の底のヘドロも、ひとしく愛していただきたい。

「肉食の思想」では、西洋では、断絶理論の強烈な峻別に対抗する形で、自由や平等といった近代思想が生まれたと話が続いていく。同じように、これからの先進国社会に必要なのは、「地球にやさしい」というたわ言に対抗する新たな思想ではないのか。

P.S. 「肉食の思想」は、私が高校生のとき親父の本棚からかっぱらった本である(もちろん、今では私のもの)。奥付を見ると昭和41年初版、昭和58年第36刷、定価380円となっている。新書が1冊380円とは時代を感じる。

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