ション・マクミラン著「市場を創る」(NTT出版)という本に、「情報は自由(タダ)になりたがっている。情報は同時に高価になることも欲している」というコンピュータ業界の箴言が紹介されている。あえてパクらせてもらうと次のようになる。
「才能は自由(タダ)になることを求める。才能は同時に多くの人々に利用されることを欲している」
たぶん知的財産権が実質的に守るのはクリエーター個人の利益ではなく、クリエーターと市場経済の間を取り持つ業者の利益なのであろう。そして、当然ながら、業者が正当な競争の結果得た利益は保護されるに値するものである。それはそれでいい。問題なのは、作家や芸術家の知的財産権を守らないと彼らのインセンティブが保てない、というたわ言である。製薬会社が莫大な研究開発費をかけて得た成果を、同業他社がただで真似することができたら、どの製薬会社も、みすみす損をするとわかっている研究開発を行おうとはしないであろう。同じように、ある作家が書いた小説の海賊版が出回れば、その作家は執筆をやめる・・・はずがない!
才能は自由(タダ)になりたがっている。才能は同時に多くの人々に利用されるたがっている。本当に才能を持つ者は、体内から沸き起こるある種の押さえきれない表現への欲求をもっている。そして、自らの才能が多くの人々の目に留まり、利用され、あるいは役に立つことを心から望んでいる。金銭的見返りなどクソ食らえ、とは言わぬが、そこそこ豊かに暮らしていければそれで十分、と感じているはずである(才能の枯渇した者や、もともと持たない者はそうは感じないようだが・・・)。
同じ創造へのインセンティブでも、営利目的の会社と自然人では全く異なる。法によって守られるべきは、会社が行う創造への投資に対する正当な見返りであって、個人が持つ才能に対する見返りではない。

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